キリスト教と英語教育

新島襄、津田梅子、など多くの日本人がアメリカに留学し現地で洗礼を受けました。帰国後は日本の教育の発展に寄与しましたが特に英語教育に重きを置きました。

新島襄（にいじま じょう）

新島襄は、同志社英学校（現在の同志社大学）の創設者であり、日本の近代教育において重要な役割を果たしました。彼はアメリカで学び、キリスト教精神に基づいた教育を日本に根付かせようとしました。同志社英学校では、英語教育を重視し、多くの学生が英語を学ぶ機会を得ました。

津田梅子（つだ うめこ）

津田梅子は、津田塾大学の創設者であり、女性の英語教育の先駆者です。彼女は幼い頃にアメリカに留学し、帰国後、日本の女子教育の発展に尽力しました。津田塾では英語教育が中心に据えられ、女性が高度な教育を受けられる場を提供しました。津田梅子もキリスト教の価値観に影響を受け、教育の場でそれを実践しました。

グイド・フルベッキ（Guido Verbeck）

フルベッキはオランダ出身の宣教師で、幕末から明治時代にかけて日本の教育と近代化に大きな影響を与えました。彼は長崎や東京で英語や西洋学問を教え、多くの明治政府の指導者（大久保利通、伊藤博文など）を育てました。彼の教育活動を通じて、英語が近代日本の発展において重要な役割を果たすことが確立されました。

キリスト教と日本の英語教育

キリスト教系の学校（同志社、明治学院、立教、青山学院、関西学院など）は、日本の英語教育の中心的な役割を果たしてきました。これらの学校では、聖書を教材として用いることも多く、英語教育とキリスト教精神が結びついていました。また、英語を通じてキリスト教文化や西洋の思想を学ぶ機会を提供し、日本の近代化にも寄与しました。

現在でも、キリスト教系の大学や高校では英語教育が重視されており、日本の英語教育の歴史には、キリスト教の影響が深く根付いていると言えます。

日本の英語教育に影響を与えたキリスト教関係者は、新島襄、津田梅子、フルベッキのほかにも多くいます。以下に代表的な人物を紹介します。

1. ジェームス・カーティス・ヘボン（James Curtis Hepburn, 1815–1911）
• アメリカ出身の医師・宣教師で、日本での英語教育と聖書翻訳に貢献した。
• 「ヘボン式ローマ字」 を考案し、日本語を英語表記する方法を確立。
• 横浜に ヘボン塾（現在の明治学院大学の前身） を設立し、英語教育を行った。

2. ウィリアム・スミス・クラーク（William Smith Clark, 1826–1886）
• アメリカの教育者で、北海道の 札幌農学校（現在の北海道大学） を設立。
• 生徒に「Boys, be ambitious!（少年よ、大志を抱け）」と語りかけたことで有名。
• 札幌農学校で英語教育を実施し、多くの優秀な学生を育てた。
• キリスト教を広め、日本の近代教育にも大きな影響を与えた。

3. ジョセフ・ハーディ・ニーズマ（Joseph Hardy Neesima, 1843–1890）
• 新島襄（にいじま じょう）の英語名。同志社英学校を設立し、キリスト教と英語教育の普及に尽力。
• アメリカ留学後、日本に戻り キリスト教精神に基づいた近代教育 を実践した。

4. サミュエル・ロビンス・ブラウン（Samuel Robbins Brown, 1810–1880）
• 日本最初のプロテスタント宣教師の一人で、英語教育を通じてキリスト教を広めた。
• 横浜に ブラウン塾（後の明治学院の前身） を開設し、多くの日本人学生に英語を教えた。
• 聖書の翻訳にも関与し、日本の英語教育とキリスト教布教に貢献。

5. ルドルフ・トイスラー（Rudolf Teusler, 1876–1934）
• アメリカの宣教師・医師で、聖路加国際病院 を創設。
• 病院の中で英語教育を実施し、医療分野でも英語が重要な言語として広まるきっかけを作った。
• 日本における医療英語の普及にも貢献。

6. アリス・ベーコン（Alice Mabel Bacon, 1858–1918）
• 津田梅子とともに日本の女子教育に尽力したアメリカ人教育者。
• 1890年、日本政府の招きで来日し、女子英学塾（後の津田塾大学） で英語を教えた。
• 日本女性に英語を教え、西洋文化を紹介したことで、日本の女子教育の発展に貢献。

7. ダニエル・クロスビー・グリーン（Daniel Crosby Greene, 1843–1913）
• アメリカの宣教師で、同志社や東京一致神学校（後の東京神学大学）で英語とキリスト教を教えた。
• 文部省の英語教育政策にも関与 し、日本の英語教育制度の形成に影響を与えた。

8. バジル・ホール・チェンバレン（Basil Hall Chamberlain, 1850–1935）
• イギリス出身の言語学者で、東京帝国大学（現在の東京大学） で英語と日本語を教えた。
• 日本語と英語の比較研究を行い、日本の英語教育の基盤を作る。

これらの人物たちは、キリスト教の布教とともに、日本の英語教育の発展に大きく貢献しました。彼らの影響で、多くのキリスト教系学校が設立され、日本の近代教育が形成されていきました。現在でも、明治学院、立教、青山学院、同志社、津田塾、国際基督教大学、西南学院大学などのキリスト教系の学校は、日本の英語教育の中心的な役割を担っています。また、英語を学ぶこと、国際的な人材になるということは欧米の文化を学ぶことであり、その観点から欧米の宗教、キリスト教を知るとより英語に親しむことができるというのは今日の日本において未信者にも広く受け入れられている事実なのかなと思います。なので、英語を深く学びたいと思う方は、ぜひキリスト教についての理解も深めていただければと思います。